第56回 東大生研 表面科学研究会

日時: 2014年 11月 25日(火) 10:00-12:00
場所: 東京大学生産技術研究所 R-6 食堂棟2F

講演者: 岸根順一郎教授(放送大学)
講演題目:「キラルらせん磁性体の物性と機能」

磁気秩序構造に様々な次元性を持つトポロジカル欠陥を作り込んで電流や外場によって制御しようという研究が活発に進行している。ランダウ理論によれば、秩序構造は結晶の幾何学的対称性によって括り込まれたものである。この意味で、秩序状態が織りなすトポロジカル構造も結晶の幾何構造の配下にある。我々はこのような視点に立って「キラル磁性結晶で実現するキラルらせん磁気構造」の研究を進めてきた。この種の磁気構造に磁場を印加すると、キラルソリトン格子と呼ばれるコヒーレントなスピン位相のストライプ秩序が安定化する。このストライプ構造は「周期的,非線形,非対称,トポロジカル」という性質をあわせ持ち, 0.1テスラ程度という控えめな磁場でその空間周期を数十ナノメートルから結晶サイズまで連続的に制御することができる。本講演では、キラルらせん磁気構造とキラルソリトン格子についての研究の現状と展望を紹介する。

Refs.
[1] J.Kishine, I.G.Bostrem, A.S.Ovchinnikov, and Vl.E.Sinitsyn,Phys.Rev.B89, 014419 (2014)
[2] Y.Togawa, Y.Kousaka, S.Nishihara, K.Inoue, J.Akimitsu, A.S.Ovchinnikov, and J. Kishine, Phys.Rev.Lett.111, 197204 (2013)
[3] J.Kishine, I.G.Bostrem, A.S.Ovchinnikov, and Vl.E.Sinitsyn Phys.Rev.B 86, 214426 (2012)
[4] Y.Togawa, T.Koyama, K.Takayanagi, S.Mori, Y.Kousaka, J.Akimitsu,S.Nishihara, K.Inoue, A.S.Ovchinnikov, and J.Kishine,Phys.Rev.Lett.108,107202 (2012)
[5] J.Kishine, I.Proskurin and A.S.Ovchinnikov,Phys.Rev.Lett.107,017205(2011)


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