岡野・福谷・Wilde研究室 概要

“もの”あるところに必ず表面が存在します.異なる物質が接するところは界面と呼ばれます.表面・界面ではバルクの持つ対称性・次元性が低下するため,物理的・化学的性質が大きく変化し,バルクには見られない新しい構造・電子状態が出現します.また表面・界面は非平衡開放系という特徴を持ち,異なる2つの相の間の物質・エネルギー交換の場としての役割を担っています.外界から表面へと光や粒子が入射すると,そのエネルギーが格子振動や電子励起として伝えられると同時に原子の移動や結合の組み替えが促され,反応や新たな構造の形成が起こることになります.表面・界面は,原子サイズで制御された新奇量子構造形成の場であり,またエネルギーや信号の流れを制御する場でもあります.

我々の研究室では,電子と核の協調運動が引き起こす表面物理現象について,光や量子ビームなど新たな実験技術の開拓も行いながら,研究を進めています.

岡野研究室

研究テーマ:新奇な電子放射現象を通じて、固体表面の界面量子物性を探求する

放射光で共鳴励起された原子核の緩和に伴う内殻電子放射(内部転換電子放射)や 超伝導体や半導体ナノ構造からの電界電子放射を研究している.表面歪と表面磁性を核共鳴電子放射で解明することと、超伝導体からの電子対放射を電界電子放射で実証することが、当面のターゲットである.電子放射の研究以外では、固体表面における水素分子の核スピン転換過程の研究や低速電子線回折による表面構造の研究を福谷研究室と協同して進めている.

福谷研究室

研究テーマ:表面量子物性

固体の表面・界面は,特異な電子状態を持つとともに,原子核運動の自由度が大きいのが特徴です.水素は,質量の軽さと核スピンに起因する原子核の量子効果が顕著な元素であり,電子と核の協調が興味深い量子現象を引き起こし,物性のみならず化学反応から生体まで広い分野で重要な役割を担っています.福谷研では,“水素”と“表面”をキーワードに,表面電子状態と新規量子物性の探索を行っています.最近のテーマは,核スピン3重項-1重項転換における磁気・誘電効果,ナノチューブやナノ構造での水素の輸送現象と量子的非局在化,吸着分子層の量子相転移,表面に形成される遷移金属・酸化物・水素化物量子構造の物性,などです.
研究室紹介

Wilde研究室

研究テーマ:水素の表面・サブサーフェイスにおける挙動

掲載予定