成長モード

島の上にある原子が島から降りる際には図1に示すように
配位数の変化に伴って付加的な拡散障壁が現れる.
この付加的な拡散障壁はEhrlich-Schwoebel(ES)障壁と呼ばれる.



図 1. ES障壁の模式図.

ES障壁は成長モードを決める.
図2はIr(111)上に100 Kで成長したAu島のSTM像を示している[1].



図 2. Ir(111)上に100 Kで成長したAu島のSTM像(100×100 nm2).
蒸着量 (A) 0.32 ML, (B) 0.72 ML, (C) 1.2 ML, (D) 2.3 ML.

1層目は層状に成長しているが,2層目以降は島状に成長することがわかった.
ES障壁を見積もるため,ES障壁をパラメータとしたモンテカルロシミュレーションを行った.
図3にシミュレーションの結果が示されている.



図 3. 100 Kにおけるシミュレーションの結果.ES障壁 (A) 0.02, (B) 0.04, (C) 0.06 eV.
シミュレーションのサイズは400×460で蒸着量は0.72 MLに対応する.

最上層の島の密度を実験と比較することにより,
ES障壁をIr(111)上の1層目のAu上で0.035 eV,2層目のAu上で0.050 eVと見積もった.
このES障壁の下地依存性は格子定数のミスマッチにより説明される[1].


Reference

[1] S. Ogura et al., Top. Catal. 44, 65 (2007).
[2] S. Ogura and K. Fukutani, J. Phys.: Condens. Matter 21, 474210 (2009).