福谷研究室
表面・界面における電子・スピン・プロトンダイナミクス概要
表面や界面は,しばしばバルク物質にはない特異な性質を持ちます.これは,3次元物質であるバルクに比べて,次元性や対称性が低下し,異なる電子的性質を持つことに起因しています.界面(超)伝導や表面磁性,触媒効果がその典型的な例です.中でも,クリーンなエネルギー媒体である水素の生成や貯蔵,さらにセンシングにおいて,固体表面は重要な役割を果たします.当研究室では,表面と水素を精密に観測するために,2光子光電子分光とスピン偏極水素の開発を進め,表面でのスピン転換・分子生成,表面磁性・超伝導など種々の表面現象の機構解明を目指して研究を進めています.
*最近の進展
・パラジウム中水素の量子拡散ー共鳴トンネル効果と電子系非断熱効果(小澤)
・準安定Pt水素化物形成と量子拡散観測(Sudhansu,小澤)
・水素のスピン偏極に成功(中津)
・オルトーパラ転換における回転エネルギー散逸機構の解明(植田)
・水素吸着・反応におけるスピン効果の発見(植田)
・水素誘起金属絶縁体転移の新規機構提唱(松澤,小澤)
・μSRによる氷中の水素イオンの構造解明(河内)
・TiO2への水素ドープによる電子状態と伝導性変化(Irfandi)
・Ag(111)-Biにおける水素誘起構造変化(石崎)
・トポロジカル絶縁体Bi2Se3への水素吸着とインターカレーション(大橋)
研究テーマ(画像クリックで詳細表示)
【プロトンのダイナミクスと超伝導探索】
表面を利用したプロトン移動制御
プロトンの量子拡散観測と準安定水素化物の新規伝導現象の発見
【スピンのダイナミクスと表面磁性】
①水素分子の核スピン3重項-1重項転換
②スピン偏極水素の開発と表面磁性観測
③深さ分解メスバウアー分光によるノンコリニア磁性の検証